1998年以降、肺がん死亡が死亡原因の第1位となってしまいました。増え続ける肺がん死亡を食い止める対策は急務であるといわれております。
1) 検診で要精密検査・追加検査となった場合でも、結果的に肺がんでないこともあります。喫煙習慣のある人・喫煙習慣のあった人を対象として低線量CTによる検診を行うと、3〜6割の人に何らかの“異常な影”が見つかることが報告されています。もちろん“異常な影”のすべてが肺がんというわけではありません。このうちの9割以上は肺がんではありません。ただし、“異常な影”のなかには肺がんと非常に紛らわしいものもあります。そこで約1〜2割の人は、肺がんか否か診断するために、気管支鏡生検、経皮肺針生検、場合によっては全身麻酔下に胸腔鏡生検(病変の一部を採取してくる検査)などの精密検査や胸部高分解能CTによる定期的な経過観察が必要となることがあります。この場合、実際には肺がんでないのに、検診を受けなければ感じなかった「肺がんだったらどうしよう」といった不安をかかえる可能性や、検診を受けなければ行わずにすんだ精密検査を受けることにより、慎重に検査は実施されますが、検査の合併症(出血や肋膜に穴があいて肺の一部が縮む気胸など)の危険性を伴います。
また、気管支鏡などの検査費用も負担しなくてはならなくなります。
2) 検診で肺がんを発見された場合、その“癌”は将来的に生命に影響を及ぼさないような進行の非常に遅い肺がんである可能性も全くないわけではありません。何十年も体内にじっとしているようながんというものも皆無ではないからです。
3) 被曝線量 肺がん検診にCT検査を実施することの問題点として、胸部単純X線撮影のおよそ12倍となる被爆線量の増加があります。しかしそれは、胃がん検診とほぼ同じ被曝線量で今のところ胃がん検診では被曝線量については問題とされておりません。当院のCT検診では被曝線量をできるだけ少なくするように設定されておりますが、今後も被曝線量の低減に努めてまいります。
1) 検診の結果が陰性であっても、これ以降、肺がんにならないというわけではありません。発育の遅い肺癌の場合、次の検診までの間に自覚症状で見つかるものもまれにはあります。年1回の検診とする場合が多いのですが、検診の間隔をどのくらいにすればよいかは現在研究中です。
2) 低線量CT肺癌検診で早期に発見されやすいのは肺野型肺癌(肺の末梢に発生する肺癌)です。肺門型肺癌(太い気管支に発生する肺癌)や、発育が非常に速く数ヶ月で大きくなる小細胞癌など、胸部CTでは発見されにくい種類の肺がんもあります。重喫煙者に多い肺門型の肺がんを早期に発見するためには喀痰検査を併用することが役に立つと考えられています。
3) 当院でのCT肺がん検診撮影の際、疾患の疑いがありご本人の同意が得られた場合には、ひきつづき一次精密検査と同等の撮影条件により疾患疑い部位の高分解能CT撮影を行う場合があります。追加料金は頂きません。これにより、受診者へのサービスになるだけでなく受診確認や追跡調査の精度向上に寄与する事になると考えます。
4) 検診では、結果の追跡調査などにより、その検診自体の精度評価や検診体制の改良などを行うことになります。もちろん、受診者の方々の個人情報に関しては、守秘義務を最大限に尊重します。この年度ごとの追跡調査による検診精度の見直しは、次年度以降の検診をより正確にするために非常に重要な作業です。具体的には肺がんなどが発見された場合、受診された医療機関に問い合わせて、その結果を集計するというような作業です。これらの作業についてご了解いただきます。集計結果などについては、個人名はもちろん出しませんが、結果の数字などにまとめ、検診団体外部からの専門家などの審査や追跡調査・集団結果として公表(学会発表、論文化)などを行うことがあることをご了解下さい。
5) 追跡調査などに関し、受診者の意志でお断りになることも、途中中止することもできます。もしご質問等ございましたら、ご遠慮なく検診担当者にお聞き下さい。
6) 結果通知方法について
疾患の疑われる方には、専門医による結果説明を直接お受け下さるようお願い致します。呼吸器外来は毎週金曜日の平日・午後・1時半から5時半までとなっております。
7) 検診は原則として平日(月〜土)午後1時半〜4時半に行っていますが、休日でも対応できる場合もありますので、ご相談下さい。電話予約でも直接外来に来られた場合もお受けいたします。
参考文献
「低線量CTによる肺癌検診の手引き」
低線量CTによる肺癌検診のあり方に関する合同委員会
日本肺癌学会集団検診委員会
胸部CT検診研究会指針検討WG
金原出版株式会社